Round 18: バレンシアGP(バレンシア) 2011/11/6
バレンシアの雨粒の先に見えていた勝利…。(予選:2番手 決勝:リタイア)

VALENCIA 悲劇のマレーシアGPから2週間。イタリアに戻った裕紀は、不慮の事故で亡くなったチームメイトのマルコ・シモンチェリの葬儀に参列。イタリアのテレビもラジオもシモンチェリの追悼番組を放送し、才能豊かなライダーを失ったことを実感。少しでもシモンチェリの分もと決意し、バレンシアに向かった。
例年なら予選で雨が降っても、決勝では晴れることが多かったが、今年のバレンシアは、レースウイークを通じて天気が悪かった。雨が止んだと思えば、パラパラと雨が、また落ち安定しない天候となっていた。さらに気温も低く、ジャンパーが手放せない陽気だった。

VALENCIA そんな不安定な天候の下でスタートした初日。フリープラクティス1では24番手、フリープラクティス2で13番手と順位こそ振るわなかったが、フィーリングはよかった。他のライダーがスリックで走っているときにレインタイヤを履いていたり、一番乾いているときにアタックしなかったり、順位が悪い理由がハッキリしていたため、今回は勝負できる自信が初日からあったのだ。
公式予選は、不安定な天候もあり、セッション開始直後にタイムアタックに入ることにした。裕紀は、ピットアウトするタイミングを遅らせ、単独でタイムアタックを敢行し、2番手につけていた。その直後に雨が強くなり、フロントロウ2番手グリッドを確保した。

VALENCIA 決勝日も、パラパラと雨が降る不安定な天気となった。朝のウォームアップ走行後には、シモンチェリの追悼セレモニーが行われ、気持ちも新たにグリッドに向かった。メカニックには“イケるだけいってこい!”と言われ、裕紀自身も、前に出て全開で走ろうと思っていた。
その思い通りにホールショットを奪うと、エガーターに一度かわされるが、すぐに抜き返しオープニングラップをトップで戻ってくると、そのままレースをリードしていく。小雨の降る中、何度もスライドする場面もあったが、その感触を確かめながら周回を重ねていた。チームメイトのピッロも2番手に上がり、グレシーニが1-2体制を築いていたのだが…。6周目の3コーナーに入っていった瞬間、マシンは挙動を乱し、裕紀は、一気に振り落とされてしまった。頭を強く打った裕紀は、気を失っていたが、メディカルで意識が戻り、身体も擦り傷一つなかったのが、不幸中の幸いだった。リザルトは、残せなかったが、全力の走りは、シモンチェリに、そして江紀に届いたに違いない。そして2人が、裕紀を守ってくれたと信じて止まない。

VALENCIA 高橋裕紀「スタートしてからの感触もよく、エガーターに抜かれましたが、すぐに抜き返してトップを走っていました。雨が微妙に降っていましたが、すごく集中できていました。自分のペースで走っていて、後ろとの差が開いたときに“これで1秒差がつくんだ”と思ったので、落ち着いて走っていたのですが…。ちょうど3コーナーに入っていったところで転倒してしまいました。まだアクセルを開けていく方向ならば対処できたと思うのですが…。雨の量も思ったより多かったのかもしれません。今シーズンは、最後まで噛み合わずに終わってしまい、期待に応えられませんでした。来シーズンこそ、期待に応えられるよう頑張りたいと思っています」