3連戦の最後となった第7戦カタルニア。ここはシーズン開幕前のテストでトップタイムを出したコース。データがあるだけに、まずは、それを基に走り始めた。しかし、一定のタイムまでは出るのだが、それ以上タイムを縮めるのが難しい状況だった。イギリス、オランダに続き、このレースウイークも天候に恵まれ、気温は35度、路面温度は50度を超える灼熱のもとでのセッションとなった。初日には、チームメイトのデ・ローサが開幕前に造られたプロトフレームを使い、まずまずのタイムを出していた。それを見た裕紀は“試してみたい”とチームに希望を出した。チームもそれに応え、夜通しマシンを整備し、土曜日の走行に間に合わせてくれた。
プロトシャーシに補強を入れたモディファイ仕様で走り出した裕紀。やや旋回性がよくなり、タイムは上がっていった。予選では、最後のタイムアタックで遅いライダーに引っかかりながらも2番手タイムをたたき出し、第3戦フランス以来のフロントロウを獲得した。確かに、前戦までに比べれば状況はよくなっているが、根本的な問題解決にはなっていないため、混戦が予想される決勝では、厳しい戦いになる可能性が高かった。
好スタートを切った裕紀は、ホールショットこそ逃すがオープニングラップは3番手に戻ってくる。今シーズンはレース序盤での転倒が多いこともあり、特に気をつけて周回。その間に、トニー・エリアス、フリアン・シモンにかわされ5番手に後退する。トップを走るアンドレア・イアンノーネは、前回のオランダ、そして第4戦イタリアとトップを独走して優勝している。今回も調子がよく、逃げパターンに持ち込む構えだ。裕紀も早く集団の前に出てイアンノーネを追いたいところだったが“ペースをつかむまで”と自分に言い聞かせる。
エリアスをかわして4番手に上がると、トーマス・ルティ、シモンをかわして2番手に浮上。集団のトップに立つと、裕紀はペースを上げていく。すると、イアンノーネにペナルティが課される。イエローフラッグ区間で追い抜きをしたからだった。イアンノーネがピットスルーのペナルティを受けると、難なくトップに立った裕紀は必死にコンセントレーションを高めた。そのまま独走でチェッカーフラッグを受け、2006年第10戦ドイツ(250cc)以来4年振り、Moto2クラスでは初めてとなる優勝を飾った。
高橋裕紀「やっと勝つことができました! チームがハードワークをこなしてくれたので、何とか成績で応えたかった。最高の結果を出すことができてよかったです。土曜日の予選、決勝朝のウォームアップを見ると僕とイアンノーネ選手のペースが速かったので、プッシュして走っていれば後続は離れていくと思っていました。その通りの展開に持っていくことができました。イアンノーネ選手がペナルティでピットに入り、トップに立ってからは、集中力を保つのが大変でしたが、4年振りに優勝することができて本当にうれしいです。チームやHonda、そして応援してくれているすべての方に感謝しています。ありがとうございます」