日本グランプリからインターバルを空けずに連戦で迎えた第3戦スペイングランプリ。アンダルシア地方にあるヘレスサーキットは、第1戦カタール、第2戦日本と打って変わり快晴のレースウイークとなった。3月にテストで走っているコースではあったが、気温が違うためにそのときのデータはほとんど参考にならなかった。ただ、コンディションが安定していたおかげで、セッションをこなすごとにバイクのセッティングが進み、走らせ方を理解していった。
初日はブレーキに問題を抱えていたが、土曜日にはそれも解決。予選では単独走行でタイムを出し、13番手となったが、決して満足できるポジションではなかった。
大観衆が集まった決勝。スタートを決めた裕紀は、ポジションを二つ上げ11番手でコントロールラインに戻ってくる。とにかく序盤から“攻め”の走りをしようと決めていた裕紀は、全力の走りを見せる。マシン、そして裕紀自身の調子もよく快調にラップを重ねていく。しかし、前を走るエリアスに引っかかってしまい、なかなか前にいけない。やっと前にいけたときには、今まで出なかった挙動が出てきた。今回もセッションは短いまま、当然ロングランはできていない。MotoGPで経験の少ない裕紀にとって初めて感じる症状でもあった。しかし、それこそ経験値が上がること。そのうちリアタイヤのスライドも始まり、バイクの挙動を感じながらレースは続いていく。終盤になると、体力的には開幕前に積み重ねてきたトレーニングの成果もあり問題なかったものの、もてぎで痛めた右手が痛み始め、腕上がりのような状況になってしまう。右腕をかばいながら必死にゴールを目指すが、バーミューレン、ジベルナウにかわされ12位でフィニッシュ。悔しいレース展開だったが得たものは大きかった。
高橋裕紀「やっとレースができてシーズンが始まった感じです。今回は天気が安定していたのもよかったし、バイクを曲げる感じや、バイクをどう扱うかが、よく分かってきました。レース序盤は調子がよかったけれど、今まで出なかった挙動が出て、それを抑えて走っていたらリアもすべるようになってきました。そもそも、MotoGPは、それが普通なんですよね。もてぎでレースができていれば、それを分かっていたかもしれない。今は、とにかく全部が経験です。スタートもよかったし、序盤攻めていけたし、今できることは、全てできたと思います。次回のル・マンは250では相性のよかったコース。もうワンステップ上となるシングルフィニッシュを狙っていきます」