夢にまで見た世界最高峰の舞台に、ついにデビューする日がやってきた。2月のマレーシア・セパンに始まり、カタール・ロサイル、スペイン・ヘレスとテストをこなしてきた裕紀。MotoGPマシンにも次第に慣れてきており、あとはレースウイークにいかにマシンをまとめるかにかかっている。
今シーズン、MotoGPは大きく変わった。世界的な不況のために走行時間が削減、さらにブリヂストンタイヤのワンメイクとなったため予選タイヤはなくなり、少しでも多く走りたい裕紀を始めとしたMotoGPルーキーにとって、このレギュレーション変更は厳しいものとなった。
実際、初日は45分のフリー走行では、課題が山積みのままあっという間にセッション終了。土曜日の公式予選では、フレッシュタイヤを入れた最初のアタックは単独走行で1分58秒784と自己ベストをマーク。さらにタイムを縮めようと、セッション終盤に再びフレッシュタイヤを履いてコースに出て行く。ここでドヴィツィオーゾ、ド・プニエ、ヘイデンがアタックしている後ろにつけ、自己ベストを更新していく。しかし、ヘイデンが8コーナーで目の前でハイサイド転倒。裕紀はこれを避けるためにブレーキをかけなくてはならず、最後のアタックが不発に終わり順位も17番手と不完全燃焼な予選となってしまった。マシンの状態も今ひとつだったため、最初の状態に戻して決勝に臨むことに決めた。
決勝前のウォームアップでマシンを確認し、いよいよデビューレースを迎えようとしたところで雨が落ちてくる。各ライダーはピットで待機するが、雷を伴う激しい雨となってしまい、ナイトレースという特別な環境でもあるため、安全性を考慮し月曜日に順延となる。
仕切り直しとなった月曜日のウォームアップ走行では、マシンを少しアジャストし、いいフィーリングになってきていた。実際、ここで予選を上回るタイムをマークし、手応えを感じながらグリッドに着く。
しかし、やはり世界最高峰の舞台は、そう甘くはない。レース序盤は予選の順位のまま、なかなかポジションを上げられない。そんな中、前を走っていたメランドリ、トーズランドがコースアウト、カピロッシが転倒し、ポジションを14番手に上げると、前をゆくヘイデンを追う。順位を上げたい裕紀だったが、逆に後方から追い上げてきたメランドリに15周目にかわされてしまう。しかし、メランドリに食らいつきペースを上げ、そのまま15位でフィニッシュ。MotoGPデビュー戦は、1ポイント獲得にとどまったが、多くのことを学び、手応えを感じたという。ここからがスタートだ。
高橋裕紀「決勝レースがMotoGPで初めてのロングランになりました。セッションも短く、予選までマシンの状態がこんがらがっていたので、決勝前に、元の状態に戻していったのがよかったですね。決勝前のウォームアップでは自己ベストを出せていたし、レース中も多くの収穫がありました。レース後半では周りと同じペースで走れていたし、序盤の混戦で前にいければ、もっといい順位でフィニッシュできると思います。順位的には悔しいレースでしたが、今回学んだことを日本グランプリに生かしていきたいですね」